猫の乳腺腫瘍の自壊ケアにつきまして

当店のにこさんも、乳腺腫瘍(乳がん)が発覚してから
手術なしで1年1か月あまり元気に過ごしておりますが、
とはいえ腫瘍は1年前とは全然違う大きさに成長してしまっております。
乳腺腫瘍が大きくなってしまうのはコントロールできませんが、
猫さんが快適に過ごせて、飼い主さんのストレスも少なく
コントロールすることは可能です。
私共がこの1年強やってきた乳腺腫瘍のケアでよかったと思うことを
まとめたいと思います。

まず、にこさんの乳腺腫瘍の見た目の変遷を書きたいと思います。
発覚した時は、乳首が腫れていて、皮膚の下にしこりを感じました。
外観でわかるのは乳首の異常だけでした。
そこから、擦り傷のようなものができ、そこから少しずつ、ピンク色の肉が
盛り上がってくるようになりました。
皮膚下のガン細胞が成長し、表面までくると、
皮膚細胞に取って変わっていくからです。
見た目は、赤くないピンク色の辛子明太子がおなかに
貼り付いている感じというのが一番近いと思います。
ガン細胞は成長するために、正常細胞のフリをして
血管を作るよう指令を出すので、血管が走り、青筋が見えますし、
明太子のように皮は薄皮ですので、すぐに出血します。
肺に問題なく、乳腺腫瘍だけがどんどん大きくなるとこんな感じになります。
いまや、にこさんの辛子明太子は縦7cmほど、横2~3cmほど、
高さ1cmほどになっています。
皮膚下を入れると、もっと大きいと思います。

では、この辛子明太子をどうケアしていくかについてまとめます。
まず、発覚した時からずっとやっているのが、朝晩のぬるま湯洗いです。
ぬるま湯をティッシュに含ませて、腫瘍の付近を優しくふきます。
腫瘍からは分泌物が出ますし、出血する時もあります。
それが周囲の毛についてしまいます。
それを放っておくと不潔になり、ばい菌の発生、膿みの発生、
匂いの発生につながってしまいます。
辛子明太子が大きくなく出血が全くない時期、
分泌物が少ない時期は1日一回でもいいと思います。

そして、分泌物や出血が周囲につかないよう、
また猫さん自身が舐めてしまわないよう、
服を着せるのがいいと思います。
手作りでももちろんいいですし、術後服を買ってもいいと思います。
そして、分泌物や血を吸わせるために、
おりもの専用シート(少量の時期)や生理用品(大量になってきたら)
を服の内側に貼り付けると楽です。
ガーゼだと明太子に貼りついて外す時に出血してしまうようなので、
そういうことのない生理用品がおすすめです。
服がゆるゆるで生理用品と腫瘍がくっつかないと、
分泌物が漏れてしまうので、その場合はストッキングやタイツなど
伸縮性のあるものに穴を開けて後ろ足を通し、腹巻のようにすると
ちゃんと密着します。

毎日ぬるま湯で洗い、新しい生理用品に取り換えても、
雑菌が繁殖してくることがあります。
抗生物質の塗り薬まで塗っていたのに少し匂ってきたので、
獣医さんに相談したところ、
スプレーボトルに入った消毒液を処方してくださいました。
ぬるま湯で洗ったあと、この消毒液を吹きかけたら、
もう匂いがすることもなくなりました。
抗生物質では効かない菌もあるそうで、消毒液が最強のようです。
スプレーの方がまんべんなくかかるので、普通のボトルで処方された場合は、
100円均一でスプレーボトルを買って入れ替えてもいいと思います。

 

さて、明太子(腫瘍)が大きくなってくると、出血が増えてきます。
この時も、困って獣医さんに相談したところ、
止血剤と止血ガーゼを出してくれました。
止血剤は錠剤で、粉々に割って缶詰などに混ぜてあげます。
止血ガーゼは患部に貼ります。
止血剤は血管を収縮させるお薬で、ガーゼより値段的には安価だそうで、
止血剤でいけるなら止血剤の方がおすすめだそうです。
にこさんの場合は、止血剤であまり出血しなくなりました。
毎日飲ませていたときもありますが、今は出血した時だけ
飲ませています。

長くなって申し訳ありませんが、簡単に要約しますと、
①皮膚の表面に腫瘍が出てきたら、ぬるま湯で洗って、
内側に生理用品を貼った服を着せる。

➁雑菌の繁殖で匂ってきたら、消毒液を処方してもらい
患部にスプレーする。

③出血が多くなったら獣医さんに相談して、
止血剤や止血ガーゼを処方してもらう。

以上です。
要約すると簡単なことを詳細な説明をして長くなってしまいました・・・
匂いがしてきた時、出血が多くなった時、ほとほと困りましたが、
獣医さんに相談したらいろいろなんとかなるもんです。
治すためでなく、QOL(生活の質)をあげるための場合でも、
獣医さんは力になってくれますので、困ったら相談されるのがいいと思います。
ちなみに「獣医腫瘍科認定医」というのがありまして、
にこさんがお世話になっているのはこちらに認定されている獣医さんなので、
認定されている獣医さんの方が腫瘍に詳しくていいかもしれません。

乳腺腫瘍が自壊すると匂いがひどくて耐えられない、とか
血だらけじゅくじゅくになってひどい状態になる、とか
怖いことが書かれているサイトもあって、
そうなったらどうしようかと不安な方もいらっしゃるかと思いますが、
今回書いたケアをしていただければ、そんなことは全くありません。
腫瘍を洗って消毒して生理用品をかえる、その手間だけ毎日すれば、
猫さんも快適、人間さんも快適です。

乳腺腫瘍の猫さんを抱える方のご参考になれば幸いです。

深窓の令嬢、な感じのにこさんです(笑

それから、病気について調べている時に、
すごくがんばってらっしゃったのに
自責の念にかられたり、苦しんでいる飼い主さんが多くて、
すごく痛々しい気持ちになったので、
自分の経験も踏まえて、そんな飼い主さんの気持ちが楽になればと思い
書いた文章を、こちらをご覧になってくださっているみなさんに
読んでいただけたらと思います。
もしよければこちらをご覧くださいませ。
愛猫の死に直面した方へ」です。

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